老健の看護師※介護老人保健施設ってどんな仕事なの?
転職する時の注意点は?
介護施設はいくつも種類がありますが、老健ならではの特徴があります。
老健は「在宅復帰を目指す」介護施設です。
医師の常駐もあり、施設の中では一番病院に近い立ち位置です。
病院から施設に転職するなら、一番ギャップが少なくて馴染みやすい♪
そして給料も病院に近いんですよ〜
老健への転職を検討している看護師さんに向けての記事です。
事前知識を得ることで、失敗しない施設選びができますよ。
- 健康管理業務、医療処置
- 中長期的な看護ケア
- 基本的に夜勤あり
- 多職種連携の調整役
- 要介護1以上、在宅復帰を目指す
- 看取りをする施設もある
- 入居期間は3ヶ月〜1年程度
- 公的施設であり費用は抑えめ
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老健看護師の仕事内容と役割
老健をはじめ、介護施設での看護師の仕事はルーティン業務が中心です。
日勤帯・夜勤帯に分けて説明します。
もちろん急変対応や救急搬送もありますが、本格的な治療は病院につなぎます。
一般的な業務の流れをご紹介します。
老健ならではの特徴も記載していますので、参考にして下さいね。
1日の流れ
老健には医師が常駐するため、医療的判断の指示を仰ぐことができます。
また、治療の方針の話し合いができるため、入居者さんの体調変化がある場合に相談ができます。
薬剤師の常駐する施設が多く、入居者さんの内服薬を配薬ボックスにセットされます。
医師に相談できるし、お薬の管理を頼れる。
病院からの転職には安心かもね。
※特養では医師の常駐がなく、月2回の往診のみが基本。有料老人ホームは施設ごとに体制がまちまちです。
日勤帯のスケジュール
施設看護師の業務はだいたい同じですが、老健は医師が常駐するため往診や受診は少なめです。
また、緊急搬送などの大きな判断は医師の指示に従います。
ルーティン業務が多く、残業は少なめです。
※時間帯や業務などは一般的な内容です
老健看護師の業務【日勤】 | |
---|---|
08:45 | 始業、夜勤からの申し送り(看護師間で) |
09:00 | 各ユニットのミーティング(介護士・看護師) |
09:15 | 体調不良者のVS測定や観察 |
入浴の可否判断 | |
必要であれば医師に指示を仰ぐ | |
10:00 | 医療処置(注入や創処置、点滴、便処置など) |
10:30 | カルテ入力や内服薬の準備など |
11:00 | 食事の可否判断 |
摂食状態の観察、食事介助 | |
12:00 | 休憩 |
13:00 | 医療処置や体調不良者の観察 |
14:00 | カルテ入力や内服薬準備 |
事務仕事(病院受診や入退院の調整) | |
健康管理業務 | |
16:00 | 注入、下剤の準備 |
16:45 | 夜勤への申し送り、残務 |
17:15 | 終業 |
夜勤帯のスケジュール
老健の看護師は「正社員ならば夜勤をする」という施設が多いです。
病院の夜勤では点滴をつないで回る、明け方の採血などが定番ですが、介護施設では違います。
主な業務は経管栄養処置、吸引、体調不良者の観察などです。
看護師が介護士さんの仮眠時間に交替用員を務める老健が多いです。
※一般的な老健の夜勤では、1つのユニットを1人の介護士さんで夜勤をします。
夜間は医師が不在であるため、医療的判断は基本的に看護師が担います。
ただし緊急性がある場合は、医師に連絡を取り指示を仰ぎます。
施設看護師の業務【夜勤】 | |
---|---|
16:45 | 日勤者からの申し送り |
17:15 | 摂食状態の観察、食事介助 |
眠剤、下剤の確認 | |
18:00 | 体調不良者の観察 |
19:00 | 注入、眠前処置など |
20:00 | 休憩 |
21:00 | 内服薬など翌日の準備 |
22:00 | ラウンド |
係の仕事など日中に出来ない業務 | |
24:00 | 交替で休憩へ |
04:00 | ラウンド |
05:00 | 注入 |
07:00 | 食事準備、摂食状態観察、食事介助 |
08:00 | ラウンド |
08:45 | 日勤者へ申し送り |
健康管理業務・医療行為
介護施設では介護業務と看護業務を分業化している職場が多いです。
そのため、入浴・食事等の可否判断などの指示出しの役割を担うことがあります。
老健では医師が施設長として勤務しており、医療的判断の指示を仰ぐことができます。
※比較対象となる特養では常勤医師はおらず、月2回の往診のみという施設が多いです。
処置や看護的判断は、病棟勤務の経験があれば、難しくないですよ。
職場のルールに慣れれば大丈夫です♪
介護施設での看護業務 |
---|
健康管理 |
入浴、食事等の可否判断 |
内服管理 |
医療処置:経管栄養、点滴、インスリン注射、酸素投与、浣腸などの排泄処置、創傷処置など |
急変時対応:医療処置、医師・家族へ連絡、他職種への指示 |
多職種連携の中心(橋渡し役) |
支援方法の検討:(例)入浴方法を介護士さんと協働し決定 |
急変時の対応
老健では常勤医が配置されていますが、夜間は医師は不在です。
大きい医療的判断が必要な場合は、医師に連絡を取り指示を仰ぎます。
老健とよく比較される特養では、救急搬送などの判断も全て看護師が担います。
「搬送などの大きな判断は自信がない」という人は、特養よりも老健の方が良いですね。
基本的に夜勤あり、一部介護業務も
老健の看護師は基本的に夜勤ありです。
日勤常勤、夜勤は派遣や夜専常勤という老健もあります。
自分のライフスタイルや求める収入に応じた職場選びをして下さいね。
看護師の夜勤人員は1名。
でも慣れたらできる♪
在宅復帰のサポート
老健の理念は「在宅復帰を目指す」ことです。
介護、医療(リハビリ・看護・投薬などの治療)を受けつつ、自宅での生活を目標としています。
多職種と連携してその一部を担うのが看護師の役割です。
※実際には特養への入居待ちとなっていることも多いです。
・自宅でトイレに行けるようサポート
・自宅で車椅子生活ができるようにサポートetc.
多職種の調整役
老健の看護師は、様々なサービスの実現のために多職種の調整役を担うことが多いです。
いくつか実例を挙げてみます。
看護師ってどこで働いても橋渡し役が多いね〜
私達は先生に指示変更をお願いできませんしね。
いつも間を取り持ってくれて助かってます。
老健の看護師の給料と休日
老健看護師の給料・休日は、他の介護施設と比較すると多い方です。
ほとんどの老健では看護師の夜勤があり、他の施設よりも看護師の配置数が多いからです。
納得できる条件であるかを見定めるには、まずは給料・休日の構成要素を確認しましょう。
給料
老健看護師の年収の幅は370〜540万円とされています。
※雇用形態や夜勤の有無で幅あり
老健の看護師の特徴は、『介護士さんとともに身体介助を行なう施設が多い』こと。
夜勤の有無や地域性だけでなく、業務内容でも給料が影響されるようです。
「病院のような多重業務はムリだけど、夜勤してしっかり手当をもらいたい」という方には向いています。
私が内定をもらった老健は年収540万円(月4回の夜勤手当て込み)。
実際に勤務することはなかったですが、転職サイトの担当者さんに給与交渉をして貰いました。
職探しをする時は、「月々の給料」ではなく、「年収」で判断して下さい。
また、給与形態の内訳を理解するのが重要です。
参照:日本看護協会「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査」
夜勤手当
老健ではほとんどの施設で看護師の夜勤があります。夜勤看護師は1名。
看護師の夜間配置義務はありませんが、基本的に正社員看護師は夜勤をします。
休日
求人票などでは老健看護師の休日は「4週8~9日」とされていることが多いです。
老健看護師の平均年間休日数のデータを調べてみましたが、該当するものが見つかりませんでした。
相場が分かりにくい状態ですが、転職先を探す場合はその施設の『年間休日数』の実態を確認して下さいね。
予め休日の構成要素を理解しておくと良いですよ♪
ぜひ参考にして下さい施設看護師の給料と休日について ※サイト内の別記事にリンク
老健で働くメリット
老健の看護師ならではのメリットは「病院と近い働き方」。
『介護施設のなかでは医療者の配置数が多く、医療的判断をする際に安心できる。』ということです。
一方で施設看護師の共通点は、ルーティン業務が多く落ち着いて働けることです。
病院に近い働き方で、ブランクありでも働きやすい
老健は、介護施設の中では一番「病院に近い働き方」ができます。
医師・薬剤師・栄養士が配置され、看護師の数も特養などと比較すると多めです。
医療的判断を下す際など、少数の看護師だけで判断する場面が少なく、安心です。
「ブランクがあって看護師が少ない施設への転職は不安」
「介護施設に興味があるが、病棟しか経験がなく心配」という方へのメリットが大きいですね。
入居者さん、利用者さんとじっくり関わりを持てる
老健の平均入居期間は約1年です。
特養や有料老人ホームより短期間ではありますが、病院と比べると、1人1人にじっくり向き合った看護が実践できます。
「高齢者の看護が好きで、より継続的に看護をしたい」
「病院の慌ただしい業務ではなく、落ち着いて対象(入居者・利用者)と関わりたい」という方には大きなメリット。
在宅復帰の目標にやりがいを持てる
老健は「在宅復帰を目指す介護施設」であることが特徴です。
入居者さんのADLが維持された・向上したという指標が見えやすく、やりがいがありますね。
医師やリハビリスタッフ、介護職スタッフなど多職種と連携し、入居者さんが住み慣れたご自宅に帰られる姿を見守れるのは、老健の看護師ならではの楽しさです。
ルーティン業務が多く落ち着いて働ける
老健に限らず、施設看護師の仕事の多くはルーティン業務です。
緊迫した状況はごく限られており、本格的な治療が必要な場合は受診→入院となります。
病院のような目まぐるしい状況は少なく、ゆっくりしたスタンスで働けます。
時間外勤務がほぼない
施設看護はルーティン業務が多いため、1日のスケジュールが組みやすく残業もかなり少なめです。
コロナ禍や急変のような事態でもない限り、ほぼ定時退勤となります。
病院勤務と違い、ほぼ予定通りの時間の使い方ができます。
老健で働く看護師のデメリット
介護施設の中でも、老健ならではのデメリットは、夜勤があること・他の施設よりは体力仕事がやや多いこと。
それでも病院勤務よりはずっと心身への負担が軽く、プライベートにしっかりと余力を残せますよ。
夜勤がある
老健の看護師は多くの場合、夜勤のある働き方になります。
「病院の夜勤がつらく、日勤のみの介護施設に転職したい」と希望している人には不向きです。
「介護施設での看護に興味があるが、夜勤手当がなくなるのは厳しい」という方には、夜勤ありの老健がおすすめです。
老健には「日勤のみ」「夜勤専従」といった求人もあります。自分に合った働き方を検討してみましょう。
医療行為が少なくスキルを維持しづらい
老健は医療と在宅の中間という位置づけですが、基本的には病院での治療の必要がない人が入居されています。
医療処置のスキルアップを目指す方には不向きかもしれません。
特養や有料老人ホームとは異なり、医師が常駐するため、医師の指示を受けて行動する機会が多くなります。
安心感がある一方で、「医療職の中心として動きたい」「判断力を磨きたい」と考える方は物足りないかも知れません。
多職種スタッフ間の調整スキルが求められる
老健には医師やリハビリスタッフ(PT、OT、ST)、看護師、介護職スタッフ、薬剤師と、多職種が配置されています。
看護師は多職種連携の調整役を担うことが多いです。
多職種連携の要という立場にやりがいがある半面、高いコミュニケーションスキルが必要です。
負担に感じる人もいるかもしれません。
看護学校・大学、病院でチーム医療の経験をしてますよね?徐々に慣れますよ。
介護業務で協働あり
他の介護施設に比べて看護師の配置が多いこともあり、老健では看護師が介護業務の一部を担う施設が多いです。
- 入浴前のVS測定〜脱衣
- 入浴後の着衣
- 夜勤で介護士さんが仮眠している間の見守り 他
介護業務と言っても、病院での多重業務に比べるとさほどの負担じゃないかもね。
老健で働く前に確認すべきこと
老健で働く前にいくつか確認した方がいいことを説明します。
転職後の働きやすさにつながるので、参考にして下さいね。
看護師の配置数
老健はサービスの提供にあたり、必要な人員の基準が定められています。
看護師の配置数が明らかに欠員であろう老健は避けた方が無難かも。
もしくは一時的な事情であれば、その理由を確認することをおすすめします。
老健の職種 | 入居者100人あたりの配置 | 配置基準 |
---|---|---|
医師 | 1人 | 常勤1人以上 (入所者100人に対して1人以上) |
看護師 | 9人 | 入所者3人に対して、看護職員または介護職員1人以上 (そのうち看護職員の割合は2/7程度) |
介護士 | 25人 | 入所者3人に対して、看護職員または介護職員1人以上 (そのうち看護職員の割合は2/7程度) |
支援相談員(SW) | 1人 | 1人以上(入所者100人に対して1人以上) |
理学療法士・作業療法士 ・言語聴覚士 | 1人 | 入所者100人に対して1人以上 |
栄養士・管理栄養士 | 1人 | 入所者の定員が100人以上の場合、1人以上 |
介護支援専門員 (ケアマネ) | 1人 | 1人以上 (入所者100人対に対して1人を標準とする) |
薬剤師 | 0~1人 | 実情に応じた適当数 (入所者300人に対して1人を標準とする) |
調理員・事務員その他 | 実情に応じる | 実情に応じた適当数 |
病院を基準にすると看護師がかなり少なく感じますが、介護施設の中では多い方なんです。
また、医師も常駐するため(夜間は不在)、「1人で医療的判断をするのは不安」という人には良い環境と言えます。
転職を検討している施設があれば、「何人の看護師が在籍しているか」を確認することをおすすめします。
出典:厚生労働省「介護老人保健施設」
出典:長寿科学振興財団 健康長寿ネット「介護老人保健施設(老健)とは」
実際の現場では、この基準をやや上回る施設もあるようです。
入居者100人
医師1名
看護師正社員8名+パート社員2名
介護士正社員23名+パート社員5名
薬剤師1名
支援相談員1名
ケアマネ2名
作業療法士1名
理学療法士1名
言語聴覚士1名
介護業務の割合
他の介護施設と看護業務で大きく違う点は、「介護業務を担う割合が高め」ということです。
特養は看護師の配置数がかなり少ないので、介護業務と看護業務がきっちり分業となっている施設が多いです。
「介護業務」と言っても、急性期病院などであれば、更衣・入浴などの保清・口腔ケアも医療ケアも全て担っています。
病院と比較してみると身体的負担はむしろ軽いハズ。
介護士さんとの関係に悩みがち
介護施設への転職を考える場合、必ず意識して欲しいのは介護士さんを始めとする他職との関係を大事にすることです。
知識なく転職すると、ほとんどの看護師が悩むことになります。
介護施設のケアの主役は介護サービスです。
看護師が行う医療サービスは、利用者さんの生活を支えるサービスの一部であって主役ではありません。
介護現場では、「医療的な正解」を追求するのはNGです。
施設は治療の場ではなく、生活の場。
「生活の場」であることを意識していれば他職者との良好な関係も、場に応じた看護の提供も自然と実現できます。
老健に向いている看護師
介護施設で仕事をするには「高齢者とじっくりと関わりを持つ」ことは絶対的条件です。
実は私、施設へ転職した当初は高齢者看護にはさほど興味があったワケではありません。でも今はすごく楽しいです。
きっと徐々に「施設の看護師らしく」変化して行くのだと思います。
「自分はそんなに向いてない」と思っても、ぜひチャレンジして欲しいです♪
高齢者とのコミュニケーションが好き
高齢者施設である老健では、もちろん入居者さんとのコミュニケーションが大事です。
医療者だから「身体や疾患のアセスメント」が大切なのは当然。
ですが施設での生活を支えるためには、その人のことを理解することもとっても重要です。
同僚たちに聞くと、「高齢者看護が特別好きだったワケじゃない」という意見も多いですが
でも介護現場で看護師をやっていく中で変化が起こります。
仕事にも入居者さんにも思い入れが持てるようなりました♪
まずはやってみて欲しいです!
チームとして目標を立てて働くことができる
老健では介護士、理学療法士など多くの他職者が働いています。
大勢のスタッフとそれぞれの立場を尊重しながら協力して働ける人が求められます。
また、在宅復帰を目指している入居者さんが多いので、目標を共有し行動することも大切です。
大切なのは医療者目線での正解を主張することでなく、入居者さんの目標を実現するための多職種連携です。
穏やかに仕事が出来る
老健は入居者さんにとっては生活の場です。
看護師がテキパキと業務をこなすことはよいことではありますが、あまりにもせかせかしている印象を与えると、入居者さんの生活ペースを乱してしまいます。
高齢で機能回復を目標としている方が過ごす場です。
ご本人達が根気よくリハビリに向き合えるサポートが必要なんです。
老健ってどんな施設?
老健は医療(病院)と在宅(自宅・特養・有料老人ホーム等)の中間的位置づけとされています。
在宅復帰を目標とし、医療ケアやリハビリテーションに重点が置かれているのが大きな特徴です。
医師の常駐が義務付けられ、リハビリスタッフも多く配置されるなど、介護施設の中でも「医療」に近い位置づけです。
どんな入居者さん?目的は?
この条件を見ると、比較的お元気な方が多そうですが、実際は違うようです。
- 要介護3以上の人が7割程度
- 退院後、自宅での生活を目指してリハビリ
- 入院は必要ではないが医療的ケアが必要になり、再び自宅での生活を目標にしている
- 退院後、すぐに特養に入居したい(=機能回復の見込みが薄い)が順番待ちをしている
在宅復帰を目的とした施設ですが、近年は看取りを行う施設も増えているようです。
特養に入居する前に亡くなったりね
介護施設の中では病院に近い
老健の特徴として、医師、リハビリスタッフ(PT:理学療法士、OT:作業療法士、ST:言語聴覚士)が配置されていることが挙げられます。
多職種による医療・リハビリ・介護のサービス提供がスムーズに行われるように、看護師は調整役の業務も行います。
他の介護施設よりも医療者の配置が多く、医療的判断の面では心強いですね。
老健の役割の変化
近年の老健は、高齢者に多い肺炎や尿路感染症などはできるだけ自施設で治療しようという流れです。
またターミナルケア・看取りを積極的に行っていく施設が増えてきています。
老健の医療機能や看取り機能が充実するのにともなって、老健で働く看護師の役割も大きくなっています。
老健の入居期間(実情は1年弱)
在宅復帰が目標である老健の入居期間は、原則として3〜6カ月とされています。
(3カ月ごとに在宅復帰が可能かどうかの評価が行われる)
ただし、6カ月を超えたらすぐに退所しなくてはならないわけではありません。
厚生労働省の2013年のデータによると、老健の入居期間は平均で311日でした(特養は1405日)。
「終のすみか」となり得る特養や有料老人ホームに比べると、短期間で入居者が入れ替わるのも特徴です。
老健の費用負担(利用者)
老健は公的施設であるため、各種の限度額制度が適用されます。
入居する居室のタイプ(個室か多床室かなど)や利用するサービスで負担額が違います。
特養と並んで『年金で利用できる』施設です。
介護施設の種類 | 入居費用 | 月額費用 |
---|---|---|
特別養護老人ホーム | 0円 | 5〜15万円 |
介護老人保健施設 | 0円 | 9万〜13万円 |
有料老人ホーム(介護付き)※ | 0〜数百万円 | 15万円〜30万円 |
有料老人ホーム(住宅型)※ | 0〜数百万円 | 15万円〜30万円 |
サービス付き高齢者住宅※ | 0〜数百万円 | 10万円〜30万円 |
グループホーム | 0〜数十万円 | 14万円 |
ケアハウス | 数十〜数百万円 | 10〜30万円 |
参考:ココファン
老健の種類(居室・機能別)
老健は居室と機能の面から、いくつかのタイプに分かれています。
転職を検討している施設がどのようなタイプかを事前に確認しておくと良いでしょう。
設備による分類
老健の居室には主に3種類のタイプがあります。
- 定員4名以下で大きな療養室を利用する「従来型多床室」
- ひとつの部屋を1人で利用する「従来型個室」
- 個室と共有の生活設備を完備する共同生活室がセットの「ユニット型施設」
どのタイプの老健でも、療養室のほかに機能訓練室や医務室などが設置されています。
機能による分類
近年は、在宅復帰を支援する機能を特に強めた「超強化型」「強化型」「加算型」などと呼ばれるタイプの老健が増えています。
「在宅復帰を支援する機能が高い」と認められた老健では、より短い入居期間でご自宅等に帰る、要介護度の高い入居者さんの割合が多い、喀痰吸引や経管栄養の実施が多いなどの実績が求められます。
入居者の負担額にはさほど影響はないが※各種限度額制度が適用されるため、老健側は加算が計上され、運営に影響する
職場選びの基準として
老健がどのタイプであるかは、入居者さんの状態やケア内容・入退居に伴う業務量に大きく関わります。
転職を検討する際は「どのタイプの老健か」「今後、強化型や加算型への移行を考えているか」も確認しておくと良いでしょう。
他の介護施設との比較
同じ介護施設である「特別養護老人ホーム(特養)」「有料老人ホーム」に比べて、老健は医療ニーズが高く、入居期間は短いです。
とはいえ、病院や介護療養型医療施設・介護医療院に比べれば医療ニーズは低め。
加えて看護師の夜勤の有無も大きな違いです。
特養はオンコール体制で夜間対応するのが多いのに対し、老健は夜勤がある働き方が一般的です。
老健は公的施設
様々な介護施設がありますが、老健は公的施設に分類され、各種限度額制度が適用されます。
その分、費用を払えれば入居できる有料老人ホームと比較し入居の条件はきっちりと定められています。
施設ごとの入居者、医師・看護師の配置基準
介護施設では、医師が常駐する(日中のみ)のは少数派です。
また看護師が24時間勤務しているのも老健の特徴です。
入居者さん、ご家族、介護士さんに取って、大きな安心材料なんですって
※介護医療院:2018年に新設された「医療」「介護」「看取り」を目的とした公的施設。データが少なく比較は難しい。
施設の種類 | 医師の配置 | 看護師の配置 | 利用者の介護度 |
---|---|---|---|
特別養護老人ホーム | 非常勤・往診 | 日中のみが多い | 要介護3以上 |
介護老人保健施設 | 常駐 | 夜間もほぼ常駐 | 要介護1〜5 |
介護医療院 | 常駐 | 夜間も常駐 | 要介護1〜5 |
有料老人ホーム | 往診・通院 | 施設ごとに違う | 施設ごとに違い |
サ高住 | 往診・通院 | 訪問看護 | 施設ごとに違い |
グループホーム | 往診・通院 | ほぼ常駐なし | 要支援・要介護 |
まとめ:老健で働くなら、事前の情報収集がキモ
老健での看護業務は、日々の生活の中で入居者さんの機能回復をサポートすることです。
生活の場であり、医療はたくさんのケアの一部であることを理解しましょう。
平均利用日数が1年近く、病院と比較するとかなり長期的な関わりとなります。
老健への転職は、自分にとって働きやすい職場に出会えるかが肝心です。そのためにはなんと言っても情報収集です!
自分に合った条件選びでより良い転職を
「自身が働きやすいか」を基準にして、事前にしっかり情報収集して下さいね。
- 給料(年収〇〇円)
- 年間休日(有給消化の現状なども)
- 業務内容(介護業務の割合など)
- 看護師の配置数
- 夜勤の回数や手当は
- どのタイプの老健か
かなり細かい情報まで確認することをオススメします。
「こんなの自分じゃ聞きにくい」「こんな細かいことを調べるのってどうすればいい?」
そう思いますよね。細かい情報収集はほんとに大変です。
看護師転職サイトだと、無料でしっかりと情報収集して貰えます。
「〇〇老健の情報を知りたい」と上記の条件をぜひ訊いてみてください。
あなたに合った職場選びのためにがんばりましょう!
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他の介護施設と比較したいなら、特養看護師の仕事もぜひご覧下さい。※サイト内の別記事にリンクします。